2012年11月24日土曜日

清水マリコ『侵略する少女と嘘の庭』

あとがきによると、嘘三部作だそうな。直接の繋がりはないけど、読んでたら、より面白い系の。
これしか読んでないけど、全然問題なかったです。多分、あの人とかが他で出てくるんだろうなぁと妄想しました。


小さい頃から周りになんとなく一緒にまとめられてきて、小学校を卒業し、各々が少しずつ大人になり始めた中学校でも、相変わらず4人で居続けるグループ。
滝瀬唯、小暮琴美、梶原裕貴(こいつ絶対将来イケメン爽やかボーイです)、そして主人公の早川牧生
普通の小説なら梶原裕貴が主人公になってたでしょうね。梶原少年は、結構スケベだけれども、まだ小学校に片足を突っ込んでるような感じ。それに対して、早川少年は、プラモデルが大好きで、実際惰性で4人でいるだけで、それほどこの関係に拘りを持っていません。
色恋に目覚め始める時期ということもあって、女はこそこそ恋話や男子との距離感について、執心するわけです。友達関係のバランスとか。勢力均衡みたいなもので、男子にとっては面倒くさいようです。

まぁ、与太はさておき、学校で流行っている「恋占い」(こっくりさんのノリ)を、主人公に施すことから事件は始まります。
女子の面倒な「遊び」を終わらせるために、早川牧生は適当に「嘘」をつきます。(タイトルにあるように、嘘はこの物語を駆動しています)
その嘘と占いとで、「悪魔」と呼ばれる少女、中山りあと関わるようになって……


という感じの話。
とてもいいティーンエイジ小説でした。爽やかで、苦くて、ちょっと重いけど、後味は悪くない。少しゆるくなった炭酸みたいな話だった。
物語の起こる範囲の狭さが中学生のリアリティを示してもいて、なんか懐かしくなるかもしれません。
中学生にはちょっと背伸びかもしれず、高校生くらいの頃に読めていたらなぁ、と思いました。
いい青春小説です、ほんと。全てがうまくいかないことも含めて。
サークルクラッシャー系の話かと思ったら、それに回収されず、トラウマ治癒ものかと思ったら、必ずしもそうでもなさそう。


この本を買った理由は、他でもなくtoi8さんのイラストに惹かれたから。
いやぁ、本当にすばらしい表紙!
この表紙は全てを伝えていますね。タイトルフォントもいい。
toi8さんの絵の中では、割りと輪郭もくっきりしていて、色彩も濃くされていて、人物には淡さがない。
そのことが、背景とコントラストをなしていて、これがまたいいですよね。

画集も全部買うくらいのファンですから。

実は、下に貼ってあるように、友風子さんのイラストで元々刊行されていたものの、再版?で、イラストレーターが交替ようです。(あるいは逆?)



友風子さんも、子供向けの文庫(小学生向けとかのやつ)にもイラストを提供していたり、何より今年の秋くらいに、個展を開いたりもしていたようで。
ほんとに優しい絵を描く人だと思います。
そういや、こないだポストカード買いました。やっぱり素敵でした。

こうやって同じ本でも、違う表紙絵で並べられると全然違う印象です。
読み終えた後見ても、これは読後感にかなりの影響を与えただろうなぁと思ってしまいます。

つまり、ひとつの小説風景が多面化されること。その意味と感覚を、色々妄想させますね。
特に、どちらも力のあるイラストレーターさんだからこそ。


ちなみに、文章は、こってなくてストレート。でも素直すぎはせず、お手本のような文章でした。読書の邪魔をしない文章。
見習いたいところです。
描写も無駄がなかった。うるさい哲学もない。自意識語りもない。とてもいい娯楽でした。

三部作の残りの2つどころか、清水マリコさん、全作品をtoi8さんに描いてもらっていて、全部ほしくなった! どの絵も素敵で、どんな感じで物語の風景を写しとったんだろう……って気になって、つい読みたくなります。
toi8さんの絵は、ただそれだけで物語があるので。
今回も、良い読書でした。

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