如月芳規(リンクはTwitterアカウント)さんの漫画。如月さんはサイトも持っているらしい→whitecrow
一迅社の謳い文句を引用するとこんなお話です。
古代城塞都市エルドラド。この街の中央にある聖なる塔と、塔を守る3つの壁。そこに何があるのか誰も知らないまま、世界政府はこれを守る為に軍を置く。第56部隊もそこに配備される一部隊だった…そしてまた今日も、事実を知らないテロリストを迎え撃つ。「#000000-ultra black-」の如月芳規が描く、少年少女の戦いの物語――。
あんまりいいレビューはなかったのですが(というか、落ちてる感想が少ない)、このサイト(鮮烈に咲いて散る少年少女の戦いの物語:如月芳規「ハスク・エディン」1巻)のものは面白かったです。あらすじとかも結構詳しく書いてくれています。
如月さんは、既にいくつか漫画を描いているようです。名前聞いたことなかったので、これが処女作かと思って、新たな新人作家の出現に戦慄していましたw まぁ、それにしてもいい描き手だなーと思います。
『水の旋律』、『#000000~ultra black』の2シリーズなど、多数の単行本を出している。
リンクを貼ったサイトでは、『進撃の巨人』と比べられていましたが、どちらかというと、ああいう理不尽さではないと思います。
手の届く、ありそうな理不尽しかありません。
戦争で人は死にます。身近な人間は悲しみをかかえながら、亡き人を悼みます。人の死は淡々としている。
弾丸を人に向けて撃つから死んで、撃たれるから憎んで撃ち返し、あるいは意味もわからず無我夢中で撃って当たらずに撃たれて死んで。
カント大先生みたいに大上段の説教や、意識の高い道徳格率を提示されても、それでもきっと多くの人は、疑問を持ちながらも、悩みながらも銃を構えて、刃を交えて。
もしくは、漫然と殺人の道具を抱えて戦場に赴き、何もしないで死んでいったり。
ありそうですよね。理解できる死ですよね。なんの不思議もない死です。ちょっとくらいドラマティックかもしれないけど、戦場の最中ではありふれている平凡な死です。
理不尽というほどではない。
彼らは互いに互いを殺そうとしていて、ただ単に双方が被害者で加害者だ。
『進撃の巨人』とは違う。巨人のように一方的に駆逐する存在がいたり、徹頭徹尾憎悪の塊になれるほど、一方的な蹂躙があるわけでもない。
まぁ、そんなこんなです。
人が普通に死んで、その人が埋めていたポジションを、別の誰かがやってきて(補充されて)、埋めてしまう。
この交換可能性を、私達は(少なくとも私は)普通に理解できます。
時々やってくる敵襲。それとの戦闘で、軍人しかいない古代都市は破壊される。平時は訓練と、誰もいない町の補修。
崩しては、直す。誰かのためではない。「弾除けにもなるから」と言われて、命令のままに、兵士達は町を直す。それ以上でもそれ以下でもない。シーシュポスの神話みたいな何かですね。
本編通じて静かな空気のおかげで、理解できてしまう不運と理不尽の周りにある悲しさを、読者は過剰に語ることができません。
この「静かさ」は、この漫画に生活感がないことに起因するのだと思います。
食事の風景はあっても、食料の調達や確保、調理の光景は描かれない。日常はあっても、町中の平凡な人間は出てこない。
静かな世界。
音に囲まれて生きている自分の生活のことを、この世界の生活のことを、かえって思い出させる漫画でした。
人間は、世界に無数に存在する埋草でしかない。目的も意図も後回しで、きっと陰謀すらないのでしょう。
音に溢れている世界では、死者への嘆きや悼みも、喧騒のような言葉とともに発することができます。しかし、音のない戦争世界、生活のないハスク・エディンの風景の中では、死者に対する悲しみの声も、荒野を吹く風や、一発の銃声ほどのものでしかない。
んーw なんかうまく、紹介できないやw 面白い漫画です。
群像劇的に、話ごとに焦点を当てられる人物が次々と変わりながら、物語が進んでいく感じの話です。
いくつか画像貼るので、絵で気に入った人は、とりあえず買うってのはありです。
朝日の書評サイトでは、ササキバラ・ゴウさんのレビューがありました。読んでいて気付いたのは、「廃墟」ものでもあるんですよね、これ。
アマゾンレビューの感想も結構よかったので、下に引用してみます。
リンクを貼ったサイトでは、『進撃の巨人』と比べられていましたが、どちらかというと、ああいう理不尽さではないと思います。
手の届く、ありそうな理不尽しかありません。
戦争で人は死にます。身近な人間は悲しみをかかえながら、亡き人を悼みます。人の死は淡々としている。
弾丸を人に向けて撃つから死んで、撃たれるから憎んで撃ち返し、あるいは意味もわからず無我夢中で撃って当たらずに撃たれて死んで。
カント大先生みたいに大上段の説教や、意識の高い道徳格率を提示されても、それでもきっと多くの人は、疑問を持ちながらも、悩みながらも銃を構えて、刃を交えて。
もしくは、漫然と殺人の道具を抱えて戦場に赴き、何もしないで死んでいったり。
ありそうですよね。理解できる死ですよね。なんの不思議もない死です。ちょっとくらいドラマティックかもしれないけど、戦場の最中ではありふれている平凡な死です。
理不尽というほどではない。
彼らは互いに互いを殺そうとしていて、ただ単に双方が被害者で加害者だ。
『進撃の巨人』とは違う。巨人のように一方的に駆逐する存在がいたり、徹頭徹尾憎悪の塊になれるほど、一方的な蹂躙があるわけでもない。
まぁ、そんなこんなです。
人が普通に死んで、その人が埋めていたポジションを、別の誰かがやってきて(補充されて)、埋めてしまう。
この交換可能性を、私達は(少なくとも私は)普通に理解できます。
時々やってくる敵襲。それとの戦闘で、軍人しかいない古代都市は破壊される。平時は訓練と、誰もいない町の補修。
崩しては、直す。誰かのためではない。「弾除けにもなるから」と言われて、命令のままに、兵士達は町を直す。それ以上でもそれ以下でもない。シーシュポスの神話みたいな何かですね。
本編通じて静かな空気のおかげで、理解できてしまう不運と理不尽の周りにある悲しさを、読者は過剰に語ることができません。
この「静かさ」は、この漫画に生活感がないことに起因するのだと思います。
食事の風景はあっても、食料の調達や確保、調理の光景は描かれない。日常はあっても、町中の平凡な人間は出てこない。
静かな世界。
音に囲まれて生きている自分の生活のことを、この世界の生活のことを、かえって思い出させる漫画でした。
人間は、世界に無数に存在する埋草でしかない。目的も意図も後回しで、きっと陰謀すらないのでしょう。
音に溢れている世界では、死者への嘆きや悼みも、喧騒のような言葉とともに発することができます。しかし、音のない戦争世界、生活のないハスク・エディンの風景の中では、死者に対する悲しみの声も、荒野を吹く風や、一発の銃声ほどのものでしかない。
んーw なんかうまく、紹介できないやw 面白い漫画です。
群像劇的に、話ごとに焦点を当てられる人物が次々と変わりながら、物語が進んでいく感じの話です。
いくつか画像貼るので、絵で気に入った人は、とりあえず買うってのはありです。
朝日の書評サイトでは、ササキバラ・ゴウさんのレビューがありました。読んでいて気付いたのは、「廃墟」ものでもあるんですよね、これ。
アマゾンレビューの感想も結構よかったので、下に引用してみます。
あとがきにもありましたが、各話主人公が変わる形式で進みます。とはいえ、ただ無為に戦死するのではなく、そうして物語は進んでるようですし、死んだ後もほかのキャラクターがその死んだキャラを思い返すシーンなどがあったり、連鎖して積み重ねながら、核心に少しずつ迫っていく感じが面白かったです。だからこそ、キャラクターに思い入れが生まれて辛いところではありますが。ただ、もう少し各話の主軸が誰なのか分かりやすくしてほしいなとは思いました。全編通しての主人公ぽい子と混乱するというか。こういった形式に描き慣れてないだけで、少しずつよくなっていくのかな。
表紙絵で戦争ものにしてはさっぱりしすぎな絵柄かな?と思っても、帯の文章や世界観に興味を惹かれる部分があれば手に取ってみる価値のある漫画なんじゃないかなと思います。本文はそれこそ戦争ものらしく線多めな、泥臭さがあるし。
物語は始まったばかり。次巻予告からすると、少年兵達の属する世界政府の黒い部分が描かれそう。肩透かしにならないことを祈りつつ、応援したいと思います。今から次巻が楽しみです。
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